50MHz帯用1/2λモノバンドモービルアンテナ

モービル運用を再開時に,唯一のノンラジアルタイプで良く飛ぶアンテナという口コミで,メーカー製(COMET製)アンテナ(HR50)を入手し,50WのFMモードで約1年 間使用してきた。最近ではダイヤモンドからも同様の構造のアンテナが販売されている。

<外観>

HR50の主な仕様

周波数:50MHz

耐入力:200W(SSB)

全長:2.13m

形式:センターローディングによる短縮1/2λ 2.15dBi ノンラジアル(50MHz)

6mバンドは飛ばないバンドとささやかれることが多いが,このアンテナを使用している限りそのようなことは無く,送信および受信性能が素晴らしく,半径20km以上の範囲で交信可能である。ところが,ある時,急にSWRが悪化し飛びが悪くなった。

その後,分解して調べたところ,原因は,マッチング回路のコンデンサが劣化したことが判明した。

以下,分解した結果の報告である。

構造が不明もため,エレメントを固定しているジョイント部分の樹脂を旋盤で静かに剥離したところ,コイルのリード線が見え始め,ジョイント部の真ちゅう金具の上面の半田を吸い取ったところ金具が離れ内部にコイルが見えてきた。

エレメントのベース部の樹脂を旋盤にて剥離

組み立て順序を考慮すると,コネクタのベース部分の上に金属パイプがねじ込まれているように見受ける。

そこで,コネクタのベース部分を旋盤のチャックで押さえ,パイプレンチでパイプを回すと接着剤で固定されていたが,ねじ込まれた部分がゆるみ,取り外すことができた。

分解後の各部の部品

このような構造だったら,旋盤で樹脂部を削る必要は無かった!!

構造の概要を観察してみた。

コネクタからの給電部の構造

エレメント固定ベース部分の拡大した様子

このアンテナの等価回路を考えてみたところ以下のようになると思われる。

短縮型1/2λアンテナの等価回路

C:7pF 1kV (表面の印刷 7c,1kv,NP0)・・・・・・・同軸ケーブルとの結合コンデンサ

L:直径10mm(内径)線径φ1.6ホルマル線 巻数23t

Cs:コイルとケース間の浮遊容量

Ld:センターローディング

マッチング回路としては,LとCの位置を逆にすることも考えられるが,アンテナエレメントの帯電や雷雨時の誘導雷電流が流れ込まないようにコイルの一端をアースに接続する回路になっていると思われる。

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