Telegraph Key (電鍵)

有線から無線通信へ発達してきた歴史のなかで主役だったのは断続したモールス符号による通信であろう。

アマチュア無線もモールス符号を使っての通信に始まって発展してきたものであり,これには電鍵が必要である。

電鍵(でんけん,Telegraph key)とは,電気信号を断続してモールス符号を出力するための装置である。

モールス符号で通信を行うには,モールス符号を受信(解読)する技能に加え,電鍵を操作して正確な符号を送信する技能が必要である。

無線通信士(第一級,第二級,第三級)およびアマチュア無線技士(第一級,第二級,電信級)の国家試験は,電気通信術の実技試験があり受験者が持ち込んだ電鍵の使用が可能であった。

試験の公平性を担保するため,自動的に符号を送出する機能が付いていないもの,つまり半自動及び自動電鍵でない物に限られていた。

実際の業務用通信の現場では利き手で操作し受信時には筆記用具持ち替える人と,利き手に筆記用具を持ったままで利き手と反対の手で操作する人がいたことを思い出した。

(近年は上級資格を有してもモールス符号を扱えない人が多くなったことを残念に思う。このことは,モールス符号の電気通信術の実技試験が省略されてしまったことに起因する問題で,非常時の通信はシンプルなモールス符号が有効であり,通信を行う者のスキルのハードルが下がってしまったように感じるのは私だけか!)

今でも愛用しているのは単式電鍵

“縦振れ(縦振り)電鍵”または通称「米つきバッタ」とも呼ばれ,英語ではストレート・キー(Straight key)シングル・キー(Single key)という。

電鍵の原理図 縦振れ(縦振り)電鍵

電鍵の基本とされるもので,つまみを親指と人差し指でつまむようにして軽く握り,上下に動かすことでモールス符号を送信する。

自由に通信速度を設定できる長所があるが,短点・長点のタイミングの調整は全て手動であるため,正確な符号を送信するには相当の訓練を必要とした。

業務用には,基台に大理石使って安定性を増したもの(普及品はプラスチックで,机に貼り付けたり錘を組み込んだりしなければズレてしまう。)

ボールベアリング用いて摩擦を減らしたもの,接点を研磨する手間を省く為に金メッキ銀メッキを施したものなどがあった。

1970年ころ一アマを受験しようと購入したのは,ハイモンド・エレクトロニクス社の「HK-1Z」で40年以上経過した現在も現役。

その後,半自動電鍵「BK-100」,複式電鍵「MS-2」も使用したが,欲しがる人に譲ってしまい,電鍵の基本であり標準的な「HK-1Z」のみ残っている。

以下は,電鍵を購入するのに参考としたハイモンド・エレクトロニクス社のカタログ。昭和時代の懐かしさを感じて頂くことができると思う。

自動電鍵(現在のエレキー:エレクトロニクス・キー)が欲しかったがハイモンドの製品は高価で近隣で使用している人はいなかった。

自動電鍵はどのようなものか触ってみたくてローカルのOM局が使用していたカツミのEK-26を拝見しに伺ったこともある。

しかしながら,入手可能な金額であるとの評判であったが,当時は入手できる金額ではなくカタログに掲載されていた回路図を参考に自作することを検討。

その後かなり時間が経過したが同等機能のエレキーを自作した。

以下は,その時参考にしたカツミのEK-26のカタログである。

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