半導体による汎用変調器
汎用トランジスタと汎用ICにより構成した変調器である。その特徴と概要は以下のとおりである。
1. マイクアンプは,RFからの回り込み等に強い平衡入力を基本とするため,放送機器やPAシステムで標準的に使用されているキャノンコネクタを用いた。
2. 入力ソースは,3本のマイク,1本のAUXラインの入力にも対応し,変調特性の測定などの時に,低周波信号を容易に入力できる。
3. プリアンプ部の特徴
4. アコーステック・イコライザを設け,周波数は,80H〜5000Hz間を10バンド構成で調整可能。
特段のフィルタを設けなくても必要な変調周波数特性を持たせることが容易。
5. 過変調対策及びラウドネス効果を引き出すために,コンプレッサー・リミッター(圧縮・振幅制限)回路を内蔵。
6.パワーアンプ部の特徴
多様な負荷に対応: 出力インピーダンス整合用に放送用アンプのジャンクに使用されていた出力変成器(トランス)を内蔵している。
これらの結果,無信号時における2N3055のアイドリング電流(1個あたり)100mA程度で,消費電力は2.5W弱,4個で10W。真夏でも発熱は気になりません。
オシロスコープで波形を観測しましたが,それでもクロスオーバー歪みは無視できる程度である。
出力特性は,1KHzの正弦波をAUXから入力し,出力に8Ω抵抗負荷を接続して,出力電力は,約100W(歪み率1%以下)。
この時,電源から供給される直流電流は,DC3.5[A]であり,直流入力電力は,48[V]×3.5[A]=168[W],よって能率η[%]は
η=100/168 = 59.5[%]
である。
整合用変成器を出力回路に用いたためか,直流入力電流は意外と少なく能率も良い。
低周波信号をAUXから入力して周波数特性を測定すると,50Hz〜40KHz程度まで,ほぼ平坦な特性である。
真空管の場合,ヒータ電力が必要であり,さらに発熱もあるが,半導体で構成した変調器では,発熱をほとんど感じず,ほんとうにクールである。
以上が半導体で構成した汎用変調器の概要である。
実際の使用感として,通常はTX-88D改造の終段入力電力を50W程度とし余裕をもって軽く変調していますが,皆さんのところでどのように受信できているでしょうか。
多くの方から,混信があっても出力電力小さい割に良く聞こえる。SSBモードで受信しても問題なく復調できているとの受信レポートを頂いてます。
なお,私の場合,回路構成は,放送設備用のPAアンプを参考にしていますので,ジャンクで入手可能な放送用アンプをそのまま使用することも可能でしょう。
今後,変調器を半導体化する計画のある方の参考になれば幸いです。
7. 以下に各部の回路図(信号の流れは→の方向に)を掲載します。
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